コンビニエンスストア”包丁”

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 ある県のある住宅街の奥深くに、周りの景色に溶け込むようにひっそりとそれはある。コンビニエンスストア、“”包丁“が。今ではいたるところにチェーン店があるコンビニ。しかし”包丁“はこの一軒しかないだろう。何故なら――包丁を専門に取り扱うコンビニなのだから。さて、いまあなたは疑問に思っただろう。それは包丁の専門店であって決してコンビニエンスストアではない、と。  いや、そうではないのだ。立派なコンビニエンスストアであるのだ。というのも“包丁”が取り扱っている包丁はただ切るための包丁ではない。少しばかり特殊なのだ。切るだけでなく様々な便利な付随効果がついている。その特殊な包丁は“包丁”の店長の爺さんが砂鉄から丹精をこめて作り上げた逸品で、そこでしか売っていない。しかし当然のことながら値段がかかる。だから買うのは大抵は芸能人だったり政治家だったり余裕のある人ばかりだ。
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