小説家さんとSNS

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 三十のおっさんがそういうことを言うのは気色悪いのではないかと思って口ごもったのに彼にサラリと悲鳴をあげた理由を当てられてしまって気まずくなる。 「フミさんはお化け、いると思う?」  どう取り繕うかと考えていると彼は支えていた私の腰をぐいと引き寄せてまっすぐ立たせるとすぐにそう問いかけてくる。 「今の、科学では分からない何かはあると思いますけれど」 「それがお化けなの?」 「そうかもしれませんし、もっと、荒唐無稽なことかもしれません」 「コウトウムケイ?」 「現実的ではないことや、でたらめなことを指す言葉です。例えば、人に見えるような肉体を持っていない生命体が存在するとか」  例として出したこととはいえまともな人ならそんなことある訳が無い。と言われてもおかしくないことだったのだけれど、彼はそれを聞くとなるほど。と言葉を漏らした。 「見えないってことは話もできないね」 「そうですね」 「フミさんとはちゃんとお互いが見えるし話せる」  大河さんがそう言って指さしたのは私が向かおうとしていたベンチ。そこに向かいながら彼が自分がここにいる事情を説明しはじめる。 「昨日は遠くのトコで練習したけど、いつもはここで本読んでる」 「そう、なんですか?」 「こっちのが近いし、借りるの安いから」 「借りるって、スタジオか何かですか?」 「そう。防音されてる」     
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