#004 09.02.03 -Piers side-

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背中を向けてたままのクレイグは答えない。 「そうじゃなきゃ、……意味がない」 「……そうだな」 クレイグはそれだけ言って、大きなため息をついた。 結局そのあと、どんな会話をして翌朝はどうやって解散したのか、いまではなぜかはっきり思い出すことができなかった。ただ、あのとき窓から見た景色といまの景色がよく似ているということだけが、いまも心の中に残っている。――― 「ピアーズ? 飲みすぎたか?」 「あ、いや」 あれから……シャワーから全員が上がり、そのままクレイグの部屋で酒を飲んだ。エルバートとユージンは酔いつぶれてカーペットの上で寝ている。クレイグは立ち上がって部屋の片付けをしているようだ。 「クレイグ、もう赤ワインないの?」 「あるけど……お前な、飲み過ぎ。水持ってきてやるから待ってろ」 クレイグはコンラッドの前にあったワイングラスを取り上げた。トレーに載せたグラスを下げに行くついでに、飲み物をとってこようとしているらしい。 「ピアーズは? なんか飲むか?」 「……あー、オレも水欲しい」 「わかった」 クレイグはそういうとトレー片手に部屋を出て行ってしまった。 「ピアーズ。何考えてたの?」     
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