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「なあ、クレイグ、その前にご飯は?」
「じゃあ飯の後にする」
「別にいいけど、でも手直ししたらまた教授が見てくれるっていうから、壊すなよ」
コンペでは選ばれなかったけれど、とある建築家兼教授に気に入ってもらえた。
コンペ入賞を狙っていたピアーズが思ったほど落胆のダメージを受けていないのは、そのせいだろう。
「へえ。どんな教授なんだよ」
「設計事務所やってる現役建築家の教授。オレが尊敬してる建築家の1人だよ。なんていうか……あの人のものはどちらかというと芸術に近い」
「そりゃ良かったな。何か、次に繋げられそうか?」
「うん。もしかしたら、インターンとして仕事の手伝いさせてもらえるかも。君の学生生活を僕に預けてみないか、って言われたよ」
「マジかよ。相当気に入られたんだな」
「いや、実際はわからない。事務所の手伝いが欲しいだけかもしれないし」
二人向かい合ってテーブルにつくピアーズは大きく口を開けてオムライスを頬張った。バターの風味香るふわふわの卵が大好きだ。クレイグが祖母から教わったというオムライスは、ピアーズの好物の1つである。
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