#001 09.1.24~26 - Piers side-

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「あと丸々二週間か。そりゃOKを出す訳にはいかねえな」 「単位落とせっていうのかよ」 「俺がお前んちまで行って、子守唄歌ってやるよ」 「いらない」 「遠慮すんな」 「してないよ」 こういう他愛もない会話が心地いい。ピアーズは言いながら幸せな笑いがこみ上げてさらに深くマフラーに顔を埋めた。 「お前、笑ってんな? 親友が本気で心配してんのに」 「笑ってない笑ってない」 「今度模型作るの手伝ってやるから」 「マジ?」 「ああ。だから頼むから寝てくれ、今日くらい。いいな?」 クレイグはそういって立ち止まる。このT字路から先は、クレイグが左、ピアーズが右へと帰る。 「分かったよ」 「じゃ、おやすみ」 手をあげて別れの挨拶をするクレイグに、ピアーズは小さく笑う。 「気が早いな」 「いいから」 「ん。おやすみ」 ピアーズは先に踵を返した。今度また家に来る口実ができたことと、心配してくれたことを振り返るだけで、今日もまた寝不足になりそうだと思ってしまう。 後ろを振り返ってその背中を見送りたい衝動に駆られながらも、ピアーズはまっすぐ先を見つめながら歩いた。 * * *
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