エンカウント

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 さっそくホワイトツリーの皮を採集することにした。  難しいことはなにもない、とにかく皮を剥がせばいいのだ。ナイフで切り込みを入れ、間に刃を差し込み梃子の原理で一気に剥がす。今回は試しで作る分だけなので、持ってきたリュックに入る分のみ取った。 「そういえば、ここまでモンスターとは出会わなかったな」  錬金術で作った魔物避けの香り袋が、思った以上の働きを見せているようだ。  もともとこの辺まではモンスターはあまり出ないとも聞いた。ここから先が、いわゆる魔境につながる奥地になる。私有地に危険地帯って…、とも思うがこの山を含め魔境と呼ばれる森林地帯も、正確にはうちの領地なので、私有地ということになるのかな?  まあ、あくまで屋敷の敷地という意味では、薬草園も含めこの森までが我が家ということになるのだろう。野球ドーム何個入るんだろうか……    この山のモンスターレベルはDクラスまでがほとんどだが、山向こうの魔境からごくたまに渡ってくるBクラスの魔物が出没することがあり、冒険者を使って山狩りをすることもあるらしい。    どちらにしても、あとはオークモドキの背脂だ。  オークモドキは、Fクラスモンスター。見た目はオークと違って、まんま豚っぽい。ちょっと巨大な豚という感じなのだが、どうやら時々二足歩行するらしい…、怖い。  食欲旺盛で、雑食。集団で行動することがあるので厄介だが、基本的には新米冒険者がスライムの次に狙う獲物らしい。  あ、スライムは見たことあるよ。今考えてみれば、あれもモンスターだね。クリフがまるで畑に出没するナメクジのような感覚であっという間に退治してたから意識してなかったよ。あれ…、クリフって結構強いの!?  ……うん、とりあえずはオークモドキだね。  考えるのを放棄して、もう一つの素材収集に向け準備を始めた。  少し危険は伴うけど香り袋を土に埋め、さらに奥に入っていった。虎穴にいらずんばなんとやらだ。リュシアンは少し焦っていた。そろそろ帰らないと、夕方までに屋敷に着けない。  とにかくモンスターが出ないことには始まらないのだ。
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