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具合悪そうにリュシアンを見上げた少年…、なぜか彼には見覚えがあった。
すぐに思い当たる人物をはじき出したが、とにかく今は逃げるのが先決である。ぐったりした少年をほとんど引きずるようにして、ようやくモンスターの視覚範囲から逃げ出した。
二人は、一本の巨木の陰に身を潜める。こっそり覗いてみると、もれなく動き出したタイガービーが獲物を探してウロウロと飛び回っていた。
そうしてしばらくすると、諦めたのか飛び去って行った。
「ふう…、なんとか逃げられたね」
リュシアンが少年の方を振り返ると、彼もマヒから回復していたらしい。なぜかその場で土下座をしてた。
「えっ!?ちょ…、なにしてんの」
土下座とか生で初めて見たよ。しかも何故か震えてる?
落ち着かせるために、リュシアンは少年の肩に手を置いた。びくっと少年の肩が大きく震えた。なぜこんなに怯えているのだろう。
だいたい、タイガービーに襲われるのだっておかしい。
あのモンスターは確かに攻撃的だが、むやみにテリトリーを荒らされない限り自ら進んで人間を襲ったりはしないのだ。
彼は、タイガービーの巣があるような草むらで、何故身を潜めていたのだろう。
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