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この剣術指南の先生は、元はやんごとないお方の側仕えをしていたそうだ。どうりで物腰が洗練されてると思ったよ。言葉使いとかもね。剣の師匠とかは、荒くれ冒険者崩れなんじゃないかという固定概念は消えた。ちなみにリュシアンは弟子ではないので、師匠とは呼んでない。ロランと名前で呼んでいる。なんか名前までかっこいいね、まるで英雄っぽい。……違うよね?
王都へ行くと言ったら、ナイフを二本くれた。
銀色に輝く材質、装飾は質素だけど、これは…、錬金術をやっているからこそわかる。そう易々と人にくれてやっていい代物ではないと思う。
それに、この柄の裏、小さいが、はっきりと見たことのある意匠がついてる。
「こ、…これって」
執事風のいかにも堅そうなその男は、まるで伊達男がするように片目をつぶった。
「遅くなりましたが、お誕生日の贈り物です」
この人、本当に何者??
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