第二章 笑う仮面が不吉を運ぶ

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まるで、初めから我が手に合った様に馴染む 心地良い重量で、日本刀に似た形の漆黒の刃 魔剣・黒紫煉(こくしれん)と名乗ったような気がする。 宜しく頼むと両手で剣を強く握りしめて念じた。 抜き身の剣だけでは、不便だと思った瞬間跡形もなく消える剣 便利の様な咄嗟の時に困る様な不思議な剣を俺は得た。 『我はシミズを主と認める。我と共に戦え、さすれば帰れるだろう』 静かに淡々と脳裏に響く声音には、隠し切れない殺気が含まれる。 これが、魔剣の声なのかも知れないが、俺にしか聞こえないらしい。 だが、俺をご指名しているのは確かだ。 シミズは俺の名だからだ。 いったい何と戦えというのだろうか? どんどん胡散臭くなるばかりで、 俺はただ悪夢を見ているだけか? そんな矢先に針の雨が降り注ぐ。 さっき消えた剣が頭上で旋廻し、俺を守ってくれた。 この魔剣は、殺気を自動察知するらしい。 「見つけた!みつけた!」 「よこせ!よこせ!」 「お前には勿体ない!!勿体ない!!」 頭上から威圧的なハスキーボイスが響く。 見上げると蜂のような容姿の女体が2体怪しく微笑んでいる。
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