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それは、僕にとっては喜ばしい事だった。
もちろん、彼女も喜んでくれた。
しかし、神様や、他の天使たちは許してくれなかった。
僕が彼女の死の運命に奇跡の力で干渉した事はすぐに向こうに伝わり、彼女が元気になってから三日後に、神様と数名の天使が僕の元へやってきた。
当然、僕はルールを破ってしまったのだから天使の資格を剥奪されることを覚悟していたのだが、神様から言い渡された処分は僕が想像していたものよりも違うものだった。
「え……?今何と仰ったんですか?」
『ですから、貴方の天使である資格は剥奪しないと言ったのです』
「しかし、僕はやってはいけない事をやってしまった身です。それなのに、何故……」
『ええ、それは十分承知の上です。なので、貴方達にはもっと違う、言うなれば、もっとも辛く、もっとも過酷な処分を下します』
「貴方達……?」
この時、僕は本能的に嫌な予感がしていた。
だって禁忌を犯したのは僕一人のハズなのに、貴方達なんて……。
『ええ。まず貴方の処分ですが、人間の彼女の次の人生から、一切の干渉を禁じます。それと同時に地上への干渉も禁じます』
「という事はつまり、彼女の来世に干渉するな。地上にも来てはいけない、という事ですか?」
『ええ、その通りです。当然の判断だと思いますよ。貴方の罪は、人間の彼女の生死に干渉してしまった事と、人間である彼女に恋慕の情を抱いている事なのですから』
彼女に恋をしている事はバレバレなのか。
さすが神様、何でもお見通しってわけか。
『それから、人間である彼女の処分についてなのですが……』
「え、ちょっと待ってください!何故人間の彼女までもが処分を受けなければならないのですか!!」
『人間である彼女は天使である貴方を、無自覚とはいえ誘惑したのですよ?当然でしょう』
「いや、誘惑だなんて……しかし!!」
『彼女の処分については、彼女は来世でも彼女として生きてもらいます』
僕は神様の言葉を疑った。
来世でも彼女として生きるって……。
「それはつまり、前世での記憶を引き継いで……って事……ですか?」
僕がそう聞くと、神様は首を横に振り、何を言ってるんだという顔で僕を見た。
『そんなわけないでしょう。前世での彼女の記憶は一切封印します。彼女として生きるという事は、来世でも同じ姿、性格、名前で、という事です』
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