28人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
1 自分探しと不思議の神様
「早起きは三文の徳。そう言った昔の人も、この空を見たのかな」
神秘的な美しさで広がる空。
「このまま朝陽と雲の間から、輝く神様が降りてきそうで」
太陽と雲のコラボレーションが放射状に光を放ち、荘厳な朝を演出する。
「ここに御降臨」
「きゃっ! もうミドリ屋さん、おはようございます」
「熱心に見上げて悪いと思って。はい。かみさんの神様おはようございます」
「そこで今朝も、大自然の味は栄養たっぷり! キャッチコピーがそのまま瓶になったという、そんな神様牛乳のお届けをありがとうございます」
その神々しい空の下、顔見知りになった二人が、早朝の挨拶を交わす。
「またそうして御謙遜の神様、森高さん、よく聞きましょうね」
「はい。配達更新中のミドリ屋さん」
「ですからね、つぶれかけた牛乳屋が赤丸急上昇で100軒、いいですか、新規契約が100軒目ですよ」
「今日も失礼な話を繰り返しますが、見るのも触れるのも嫌う方が一気にごくごくで、あっという間に瓶を空っぽにしたって言いました」
「いや、どんなに帳簿とにらめっこしても、この朝一の挨拶が始まってからです。ええ、かみさんは正しい。かみさんは間違ってません」
「だから100軒でもそれ以上でも、ミドリ屋さんこだわりの神様牛乳は、みんなのミラクル牛乳なんです。信頼の味の正しい結果なんです」
最初のコメントを投稿しよう!