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「結果は結果でも夫婦で協議した結果、爺婆含む満場一致で文句なしに可決。よって二本に無料追加でもう一本、本日より献上品とさせていただきます」
「はあっ!?」
「では森高大明神様、また明日参上いたします」
「大事な商品をいけません。追加で支払い、ミドリ屋さんちょっと待って!」
「これも三文の徳! ミラクル牛乳で一日ファイト!」
「きっと予約待ち状態に! ……それに私じゃなくて」
こうして急に忙しくなった牛乳店の車は動き出して、朝一の習慣になった挨拶は慌ただしく過ぎ去った。
「厳しい状況の今だからこそ、妥協しない本物の味で皆さんを笑顔に。そう話すお父さんの牛乳を、神様じゃない私は、どうしても応援したいから」
三代続くお父さんの牛乳は、六人の子ども達を育てる牛乳でもある。
「人柄が詰める牛乳は、とことん美味くて飲める。うまく話せなくてごめんなさいでも、真心の味がする牛乳は私も同じです。ありがとうございます。喜んでくれた不思議の神様に、ミドリ屋さんの代わりに私が配達しますね」
家族を支えるお父さんの牛乳を、どうしても飲んでほしい大嫌いな牛乳を、ただ自信と一緒にテーブルに置いた。
すると、一気に飲み干した牛乳瓶は、御代の白い煙で包まれた。
「うーん、晴れ晴れ御身善し。身体も心もフルで最高」
早朝の空へ両手を伸ばして、大きく背伸びをする。
「こっちもあっちも廿楽堂日和。 よし。ミラクル牛乳で一日ファイト!」
すべてのはじまりは、二ヶ月前の大きな決断だった。
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