お風呂の神様

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現代現代、あるところにたいそうお風呂好きの青年がおったそうな。 朝起きると、朝風呂に入り、大学へと向かいました。 自転車を走らせ、大学の正門を目指していると、どんぶらこ、どんぶらこ、と書かれたタスキを掛けた「桃太郎同好会」の方々が朝のジョギングをしていました。 たまたま本日は午前中の講義だけだったので、食堂で昼食を終えると、大学の近くの銭湯へ向かうことにしました。 おやおや? 銭湯に近づいてゆくと、何やら騒がしい声がします。 青年は興味本位で声のする方へと足を向けることにしました。どうやら件の場所は男性の脱衣所のようです。 入り口で靴を脱ぎ下足箱に入れ、番頭さんに代金を支払った青年は好奇心を胸に秘め、脱衣所に入りました。 青年はたいそう驚きました。大学で同じゼミの学生、蟹江氏と猿田氏が取っ組み合いの喧嘩をしているのです。まるで、猿カニ合戦だと、青年は心の中で叫びました。 青年は二人に気づかれぬように服を脱ぎ、浴場へと向かいました。壁に描かれた赤富士を拝みつつ、青年はこの日2回目の風呂を堪能しました。 銭湯を出た後、喧嘩の傷跡が痛々しく残る猿田氏と出くわし、そのまま二人で軽食を取ることになりました。不本意だったのですが、同学年ながら1つ年上であるため逆らえず猿田氏の提案に従ったのです。この些細な出来事がストレスとなり、青年は今夜ヒノキの入浴剤を使用することを決めました。
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