ヒーローショー

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 挨拶から始まったヒーローショーは、進行役の秋葉の働きもあり、会場の雰囲気は盛り上がっていく。子供たちの期待が膨れていくのが目に見えてわかった。みんな早くヒーローに会いたがっていた。秋葉は段取りをこなしながら、時に子供たちをじらし、少し大げさな動作を交えつつ、ヒーローに登場してもらおうとした。子供たちはジャンクの名を呼んで会いたいと声を上げるが、突然流れていたBGMが変わった。暗く、不気味で不穏な音に。客席の子供たちは途端に不安そうになる。親にしがみつくものもいた。  子供たちの反応に、秋葉は手ごたえを感じ、順調な流れに安堵した。そして、舞台袖から緑の蛍光色の衣装を着た数人が現れた。彼らは舞台に広がり、ショーを邪魔するように遮った。子供たちの不安を更に(あお)るように、舞台には煙が()かれ、その煙の中から、骸骨の顔をした男が漆黒のマントを(ひるがえ)して現れた。 「このショーはムクロ怪人が乗っ取った! 会場にいる子供たちの生命エネルギーをもらい、この世界を支配してやる。子供たちを連れてこい。発光星人テラーたちよ!」  ムクロ怪人の指示で、発光星人が客席に向かい、子供たちを物色し始める。クライマックスがいよいよ迫っていた。後は(おび)える子供たちの中から一人を選んで、舞台に連れてくる。それから秋葉の呼びかけで、子供たちにジャンクを呼んでもらって戦ってもらうだけだ。  秋葉はそう思っていたが、ムクロ怪人が突如舞台にいた秋葉の腕を掴んで引き寄せた。 「待て。テラーたちよ。子供たちの前に、まずこの女の生命エネルギーをいただく。この女はジャンクの仲間の一人だっ!」     
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