ヒーローショー

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 が、今はどうだろうか。せっかく盛り上がりを見せているヒーローショーが、シラけてきている。このままではショーが台無しになってしまう。このピンチに駆けつけるのがヒーローの役目ではないのか。早く来て! 鉄くず仮面ジャンク! そしてこのヒーローショーを救ってほしい。秋葉は強く願ったが、その想いは届かなかった。不意に客席にいた一人の少年が立ち上がった。 「みんな! 一緒にジャンクを呼ぼう! 呼べば絶対来てくれるよ! ムクロ怪人なんてすぐにやっつけてくれる!」  正義感の強い少年は周りにいた子供たちに呼び掛けた。本来なら秋葉が言わなければならない台詞だった。その少年の勇気に感化された他の子供たちも、恐れを捨てて立ち上がる。 「助けて! ジャンクっ!」 「ジャンクぅ!」  各々が鉄くず仮面ジャンクを呼ぶ。小さい体が壊れてしまうほど必死に叫ぶ姿に、秋葉は居たたまれなくなる。彼らはヒーローが来ると信じている。だが、やはりジャンクは現れない。 「僕たちの声が小さいんだ。もっと大きな声で言おう!」  先導する少年は、まるで台本の段取りを把握しているかのようなに、華麗にショーを進行していく。秋葉はスタッフなのかと錯覚してしまうほど、頭が混乱してきた。少年たちは諦めない。声を揃えて呼び続けた。が、いくら呼んでもヒーローは来ない。舞台袖のスタッフも手でバツマークを作りながら、首をぶんぶん横に振っていた。必死になる少年たちは、やがて現れないジャンクに叫ぶ声は次第に泣き声に変わっていった。先導していた少年も涙ぐんでいた。     
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