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「何だとっ!?」
わざとらしい反応のムクロ怪人だったが、どこか声は嬉しそうだった。秋葉がショーを壊したくないのと同じように、筒野も同じ気持ちなのだろう。だから秋葉の行動が嬉しかったのかもしれない。
「はっ、構成員のお前に何ができる!」
ムクロ怪人の台詞を機に、秋葉は帽子を脱ぎ捨て、結っていた髪を振りほどいた。次に舞台を大きく使って、側転からバク宙を披露した。長い髪が天地に揺れる。着地は見事に決まり、客席からはどよめきが起こった。泣いていた子供たちの顔は一変する。秋葉の華麗な動きに希望が見えたのか、応援する声が聞こえてきた。
「がんばれっ! ムクロ怪人をやっつけてっ!」
子供たちの声援が次々と秋葉に飛んでくる。秋葉は高揚した気持ちを抑えつつ、ムクロ怪人が繰り出す攻撃を、体操で培った身軽な動きで躱した。声援を送る子供たちが興奮する中、秋葉はムクロ怪人を打倒した。
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