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「移動中だからって夜がどうこう言う話はしないでくださいよ」
「なんで?」
「なんでって、普通上司が部下にそんな話をしたらセクハラですよ」
「あー陳腐だな。何かと言えばセクハラって。じゃあ、いつ口説けばいいんだよ」
「口説く?今口説いてるんですか?」
「そうだよ。あからさまにデートに誘っても乗ってくれないだろうから、敢えて男女の夜は楽しい方がいいし、俺は『それ』をお前に提供できるよってアピールしたくてな」
「それってなんですか?」
「大人の男女が過ごす楽しい夜だよ。俺は『それ』をいつでも提供できるよってことで……そうだ、良ければ今日の夜にでも『それ』を提供しようか?」
『それ』だろうが『あれ』だろうが、どうでもいい。それより、早くこの意味深発言から逃れたい。
「結構です。私は出張にきただけなんで」
「だからだよ。出張先でもお互いにリフレッシュが必要だ。俺はお前を癒したいし、俺は隣にお前がいれば……」
言葉を唐突に切り上げる目黒。いつもの溜めるパターンだ。
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