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続きが気になって目黒を見つめた。すると目黒は前を向いて車を走らせたままで口角を上げた。
「……いや、隣にお前さえいれば俺は十分に癒やされるからさ」
翼は呆気に取られてボゥっとしてしまっていた。
癒やされる?
隣に私がいれば?
いい返させてもらうなら、嘘みたいに陳腐な言葉だ。
だが、どうしてだろう。
全身が熱い。翼は火傷するくらいに熱く感じる自分の左頬に手の甲を当ててみた。
熱いし、息苦しい。
パワーウィンドウのボタンに指を置き、急いで窓を開け外気を中に取り込んだ。
「なんか、あつっ」
独り言を呟きながら、翼は顔を窓の外へつき出し掌で顔を仰いだ。
息苦しい。
癒やされないからっ。チーム長といたら私は全然、癒やされない。それどころか反対に心身共に休まらない気がする。
チーム長といても私は全然…癒やされない。
窓から少しだけ出した顔に強い風が当たる。
しばらくすると当たっては後ろへ流れていく冷たい風が適度に心地よくて翼は目を閉じていた。
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