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「お客様! 当たりませんでしたか?お怪我は?」
立川が2人の客に急いで怪我の有無を確認している。
「大丈夫よ。あなたこそ平気?」
年配の女性が立川を心配そうに見上げる。
「僕は大丈夫です」
「あなた、メガネ落ちたわよ」
もう1人の客が立川に言った。
見ると床に散らばった缶や溢れたビールの液体に紛れて立川のメガネが落ちている。
「あっ、ありがとうございます。あの、本当に申し訳ありません」
メガネを拾い、割れているかどうかは気にしない様子でワイシャツの胸ポケットにいれた立川は再び客に謝った。
店の従業員が駆けつけてきて客に謝りながらビニールに落ちた缶ビールを入れ始める。
「申し訳ありません」
何度も平謝りする立川に先ほどぶつかった客は「いいよ。大丈夫よ、気にしないで」と許してくれた。
年配の女性客は
「あなたがかばってくれたから、怪我しなかったわ。ありがとう」
と、笑顔を見せてくれている。
そこへスーパーの店長らしき恰幅のいいエプロン姿の男性が駆けつけてきて、女性客に丁寧に謝った。
「申し訳ありませんでしたねー。お怪我はありませんか?」
店長は客と少しを会話をし謝り倒したあと、従業員に周りの片付けを念入りにさせる。
ようやくカートを押して客が去ったあと、店長は怖い顔をして立川を睨んだ。
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