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「なんですか、摘まないでくださいよ!」
目黒の手を払いのけ、翼は、またふくれた。
「おいおい、そんなにふくれて、おまえは何になるつもりだよ。ハイジの白パンかよ。はははっ」
ハイジの白パン?!
目黒から唐突に出て来たパンの名前。
翼は膨れていたのも忘れて急に懐かしさを感じていた。
「そんな名前、チーム長ってば良く出て来ますね?知ってるんですか?ハイジの白パン」
チーム長はアニメのハイジをよく観ていたんだろうか?
ハイジの白パンと言えば、白くてふんわりしていて真ん中が割れた、お尻みたいな形のパンのことだ。
「知ってるよ。大学生の頃、よーく食ってたからな。近所のパン屋のイチオシメニューだったんだ」
ハイジの白パンのおかげで翼は目黒の話に食いついていた。
「パン屋さんですかぁ。私も好きなんですよね?パン。こー見えても高校の頃はパン屋でバイトしてたんですよー」
運転しながら、目黒が目を細めた。
「こー見えてもってなんだよ。見えなくもないし、ソバカスがパン屋でバイトしててもおかしくないし。むしろ、似合いそうだ」
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