1

19/39
前へ
/39ページ
次へ
「なんですか、摘まないでくださいよ!」 目黒の手を払いのけ、翼は、またふくれた。 「おいおい、そんなにふくれて、おまえは何になるつもりだよ。ハイジの白パンかよ。はははっ」 ハイジの白パン?! 目黒から唐突に出て来たパンの名前。 翼は膨れていたのも忘れて急に懐かしさを感じていた。 「そんな名前、チーム長ってば良く出て来ますね?知ってるんですか?ハイジの白パン」 チーム長はアニメのハイジをよく観ていたんだろうか? ハイジの白パンと言えば、白くてふんわりしていて真ん中が割れた、お尻みたいな形のパンのことだ。 「知ってるよ。大学生の頃、よーく食ってたからな。近所のパン屋のイチオシメニューだったんだ」 ハイジの白パンのおかげで翼は目黒の話に食いついていた。 「パン屋さんですかぁ。私も好きなんですよね?パン。こー見えても高校の頃はパン屋でバイトしてたんですよー」 運転しながら、目黒が目を細めた。 「こー見えてもってなんだよ。見えなくもないし、ソバカスがパン屋でバイトしててもおかしくないし。むしろ、似合いそうだ」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加