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「本当ですかぁ? 私がバイトしてたパン屋さんでもイチオシがハイジの白パンだったんですよねー。なんか偶然ですねー」
「まあな」
目黒が素直に共感してくれたことが嬉しかった。
少ししてから、目黒が
「いっちゃおっかなぁ?」
ともったいぶるような言い方をした。
「なんです?」
「やっぱり、やーめた」
「言いかけてヒドイですよ。言って下さい」
「うーん。どうしようかなぁ」
「言って下さいよ。気になります」
しびれをきらした翼は、運転している目黒の肩に手をかけ揺すった。
「やめろよ、運転してんだぞ揺らすな。…そうだなぁ今夜、機嫌をなおしたソバカスが俺と2人っきりになったら言うよ」
「今も2人っきりになってますけど」
車の中は、完全に2人だけだ。
「あー違う違う。夜も更けてツインルームに2人きりでー雰囲気が良くなってきたら言うよ」
「私とチーム長って雰囲気が良くなる必要があるんですか?」
「あるよ。夜景を見て恋人同士みたいにいい雰囲気になれば、なんか普段言えないことも言えそうになるもんだろ?」
「は?えっと恋人同士…どすか?」
目黒の意味深な言葉に驚いて、つい翼は語尾を言い間違えてしまう。
「おまえ、どすかってなんだよ。俺は、そうどすえ?とでも返事すりゃあいいのかよ」
すぐに揚げ足をとった目黒は大笑いし、右手でハンドルをバシバシ叩いた。
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