家庭教師

7/11
前へ
/11ページ
次へ
「で、本題だ。これがどんなことに使われているのか」 「指示棒がわりに使うのは身近だろ。スクリーンを指したり、さっきイズミも星のことを教えてくれた」  イズミはもぞもぞと照れたように黙っている。  僕は落書き帳に新しい絵を描く。壁の前に三脚を置き、壁には十字が映っている。 「床に置いたやつからこう、壁に向けて…こういう線を映すのもある。これは床に対して水平、垂直だ。壁に何かを取り付けるとき、例えば額やポスターとか、」 「頑張れば真っ直ぐ貼れないですか?」 「そうか?例えばめちゃ大きい…高さ五メートル幅二〇メートルの壁のど真ん中に、一辺が一メートルの正方形を床と平行に描け、とか言われたらどうよ」 「そんな怪しい仕事やだあ」  僕は、彼女がマグロと言った絵を指して話を続ける。 「そのほか、例えばここのスポットの大きさを測れば、光の拡散率から逆算して照射元から照射先の距離が分かる。レーザー測量器という」 「天才か!それ考えた人ヤバ」 「強力で指向性が高い光って使い方いろいろらしいよ。知らんけど」 「出た。知ってるくせに”知らんけど”!」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加