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「だから、俺はこの日のためにどんだけイメトレしたり筋トレしたりして準備してきたかっていう、そういうデリケートな話だよ!」
ちょっと、待て。どういうことだ? なんでそんな話を聞かされなくちゃいけないんだ? こいつにとって私は一体…。
「お前さ。そういう下ネタは同性の親友とすべきことであって、相手を間違えてると思うけど」
怒りに成り切れていないモヤモヤした気持ちを抑えながら、諭すように言い聞かせてやる。北斗の目は妙な熱っぽさを灯していて、泣いているせいか瞳が見たことないほどゆらゆらキラキラしていた。ただでさえおめめぱっちりでふっさふさ睫毛な美形男子が、妙に色気付いている。
嫌な予感がした。
「…俺とお前の仲だろ?」
「ふふふふふふ…。お前の期待を最後まで聞くのが、今すごく怖いよ」
「後悔はさせないから」
「何を言ってるのかな?」
「頼むよ、ユキ! 冗談抜きで、俺いますっごく寒いんだよぉ」
「バカ、死ね、帰れ!!」
拾い上げたチキンを北斗の顔面に叩きつけた。チキンは弾き返されて床に転がる。油汚れがついてしまう。ママを困らせると、パパに殺される。思考の連鎖のせいで、身体が勝手に動いた。
炬燵を出て、チキンを拾おうとしゃがむと脇腹から手が差し込まれてタックルされて、床に転がされる。
「ぎゃ!!」と、蛙が潰されたような悲鳴を上げて、のしかかってくる北斗を両手で突っぱねた。すると、手首を掴まれて床に張り付けにされ…。かつてない程まで、顔が近付く。
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