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背中を丸めて、両手でチキンを持って、げっ歯類の小動物みたいになってチキンを頬張りながら、泣いてやがる…。さめざめ泣きながらチキン食う男が、潰れたクリスマスケーキの前で…。私は頭を抱えた。
「…なんなの? お前にとって、あたしの存在ってどういう?」
「好きだよ」
投げやりの好きだよに、カッと頭に血が昇った。包丁を台所に置いて、代わりにスリッパの片方を手に握り絞めて、ズカズカと北斗に近付くと、振りかぶってそのおかしくなった頭に全力でアタックした。
スパ――――ン と、良い音が鳴る。
北斗は物理の法則通りに殴り飛ばされた方へと倒れた。
泣きはらした目が、今度は私を見上げてくる。目と目を合わせながら、私は人生で一番大きなため息を吐いた。
「…なんかもう最悪なんだけど」
「ごめん」
「なにがごめんだよ! ふざけんな! お前の言動はどれもこれも軽いんだよ! だから女に捨てられるんだろうよ! バカが!!」
「寒い…」
消え入りそうな声。面倒くさいヤツだ。苛々する。
「そんなに寒いなら、家帰って風呂に入って寝ろよ!」
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