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人生始って以来、十六っ回目のクリスマスイブにこんな気分にさせられて、掻きむしりたくなるぐらいに苛々する!
気付いたら、目から涙が…。
私は一体、何に対して怒っているのか…。
ふと、冷静になった。次の瞬間。
FPSのdivisionというゲームを始めて間もない春休みの深夜、クエスト中に北斗が打ち込んできたリア充報告をヘッドホン越しに聞いた時のことを、思い出した。
あの時は、驚いたけどそれまでだった。他の感情は全くなかったと思う。だって、北斗は悪ノリするとうざい、黙れ、死ね、と私が本気で怒り出すまで調子に乗って悪戯したり自爆したりする奇抜なバカ野郎だったのに。その彼女と付き合い始めたら急に、私に対してもレディファーストだと抜かして気持ち悪いぐらい優しく紳士的に…。
そうされる度に、面白くなかった自分がいたことを、今…。
コンコンと、ドアが叩かれる。
「ユキ! …ごめん。俺、やっぱ救いようのないバカだわ。もう帰るわ。俺が出た後、戸締りしろよ」
そして、階段を降りていく足音を聞いた。玄関のドアが開いて、閉まる音も布団に丸まりながら耳で拾う。今朝早く、同じように両親が旅立つ時も本当は起きていて、ここから彼らを見送ったのだった。置き去りにされて惨めな捨て猫のような気分で。
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