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「なに、そのすぐバレる嘘。バカじゃね?」
「バカにバカって言われたくねぇし」
憎まれ口叩く元気があって、少し安心する。ヤカンのお湯でインスタントの甘酒を淹れて、手土産の凍えたチキンをレンジでチンした。カップ麺にも熱湯を入れて、大き目のマグカップ二つに分けて、テーブルに並べる。ケーキの箱から取り出されたホールケーキが無残に半分潰れていたが、そんな細かいことは気にしない。どうせ、私は少ししか食べれないし。
「…なんで、聞かないの?」
「何を?」
「マジかよ…。どうしてケーキがこんなことになったの? って、聞くところだよね? 常識だよね?」
出た。北斗は怒ると面倒くさいキャラになる。酔っ払った時のパパより質が悪い。
「そういうの、うざい」
「…っはぁぁぁぁ」
ここで漸くやけにでかいため息を吐いた。愚痴タイムが始まるのだろうか。
「俺、別れた…」
二度目の唖然。
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