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本は、読む人によって印象が変わると言います。 本に描かれた物語というものは、登場人物たちにとって残酷なものです。 例えば、物語が進むかどうかは読者に委ねられています。 読者がページを開かなければ、例えどれだけ望んだとしても登場人物たちは何もすることができません。そのまま開くことを忘れられてしまえば、その世界はそこで終焉です。 だから本の登場人物たちは、なんとかして先を読んでもらおうといろいろな工夫を凝らします。 こうすれば読んでもらえるんじゃないか。 ちょっとニュアンスを変えると、興味を持ってもらえるんじゃないか。 ちょっとここ、伏線っぽく演じてみようか。 そうやって涙ぐましい努力をしても。ページを飛ばしてしまえばその間に起きたことはわかりません。 ページを戻ったり、読み直したりすれば再び同じことを体験させられます。 いいことならば構わないでしょうが、そうとばかりは限りません。 文章を書き加えてしまえば、どんな行為でもさせられてしまいます。 なにより、全ての運命は決められています。どれだけ望んだとしても結末は変わりません。 そんな境遇を自覚した時、あなたならどうしますか?
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