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夜中に読んでたので親父にこっぴどく怒られたのは秘密だ。
復讐の鬼と化した桃太郎が、血染めの陣羽織で旅立つシーンはゾクゾクした。
修行の地でライバルだった猿が仲間になった時は熱かった。
砂漠のオアシスで出会った雉と桃太郎はラブい話になりそうでならなかった。
熱血漢の犬とクールな猿が友情を超えた絆を結びそうになった時はたまげた。
雉ちゃんがウルトラセクシーバイオレンスだと気付いた時は、ちょっとお下品な顔になった。
踏鞴場の宴は布団の中で読んだ。
温羅との決戦に至って、ここまで来た、と思った瞬間に、本を閉じた。
この本、読み終わってしまったら、僕はどうするんだろうと考えたのだ。
多分、ものすごく満足するだろう。
そして2、3回読み返すだろう。
そして本棚に仕舞い、思い返した時にまた読むだろう。
でも、この、毎日のように発見がある日々は、失われちゃうんじゃないか?
そんなわけはない。本は本として成立した瞬間に、嚆矢から結末に至るまで全て確定している。
読みかえしても新しい発見があるのは、単に読み解く力が無かっただけだ。
でも。
結末を知ってしまったら、物語は確定する。
確定しない物語は、常に新しい展開を期待できる。
僕は、この本を、読み終えたいのだろうか。
そう思ってしまったのだ。
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