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あるいは色々と考えすぎた結果か。
先に降りた男が手を貸そうとするが、それを断り、ゆっくりとドアを開け車から降りる。
降りると、男は俺の前に立ちふさがった。
「一体、水倉のどこがいい?」
一体何なんだ。この男。
俺に何を言わせたい。俺をはめたいのか?
「何のつもりです」
「噂どおり、水倉はアッチが上手なのか」
イライラする。別に自分だって好きで彼と一緒にいるわけじゃない。
「教える義理はないでしょう? どこの週刊誌だか知らないけれど、度が過ぎると通報しますよ」
「助けてやっただろ」
「頼んでいません」
「可愛くないな」
俺は男を睨みつけた。
「口止め料を払えってことですか?」
彼が求めるものが何か分からないが、譲歩する姿勢を見せておいた方がいいだろう。
「ああ」
苛立つのは、男の容貌がかなり好みだってことだ。胡散臭い嫌味な男だって分かりながら、目で追ってしまう。
顔が良いということは男女関係なく得だな、そんな事を考えていると正面に立つ男に胸倉を掴まれ、コンクリート塀に押し付けられた。
「何っ」
「口止め料を払う気があるんだろ?」
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