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 湿った唇が押し付けられる。男の肘が肩の上に入り、逃げられない。  キスされている。  そう思った瞬間、頭の中が真っ白になった。  油断した隙に、熱い舌が唇の隙間から強引に入ってくる。歯列を舐め、互いの舌先がざらりと重なりあう。 「……っ」  頭が焼けそうだ。気付けば腰をしっかり抱き留められ、肘を壁に抑えつけられ退路を断たれる。 「……ぁ、や、だ」 「何が「イヤ」だ。水倉には何度もキスさせてるんだろ」  脳から思考力が奪われる。  男とキスするのは、初めてだ。  舌が口を愛撫する。息が苦しい。粘膜を執拗に擦られ、じんわりとした熱が口から下肢へとゆるやかに落ちていく。 「ん……っ」
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