7/11
前へ
/94ページ
次へ
 口腔の内側を執拗に嬲られ、体の中心、陰茎に熱が集中していくのが分かる。俺の反応に気を良くしたのか、長い脚が両脚の隙間に入ってきた。 「……はっ」  脚の付け根の性器を布越しに刺激され、全身に痙攣のようなものが走る。  窒息しそうなほど口を吸われ、性器をまさぐられると、脳内に膜が張られたように理性が働かなくなる。  何も考えられない――。 「はぁ……」  唇を離した瞬間、膝の力が入らず崩れ落ちそうになったが、脇に腕をいれられ支えられた。 「わりと上手じゃないか」 「うる、さいな」  声が掠れてしまう。反応しているのがバレたかもしれない。顔が上げられない。 「水倉はキスが下手か」 「……っ。そんな、彼とキスなんか、するわけないでしょう」  男の頬にめがけて振った右手は、空を舞った。息だけが上がる。人を小馬鹿にしたようなその頬を、思い切り引っ叩いてやりたかったのに。 「愛人だろ?」 「違うって言ってるだろっ。男とキスなんて、はじめてで……っ」  男は一瞬虚を突かれた顔になった。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

86人が本棚に入れています
本棚に追加