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私は黙って会釈をして親子の横を通り過ぎたが,その視線は少年から離すことができなかった。
おそらく母親であろう女性は,私の視線に気付いてはいないだろう。しかし,その少年は私から視線を逸らすことなく,その純真無垢な瞳を私に向けた。
これまでの人生で感じたことない衝撃が全身を包み込み,全身に電気が走る感覚とはこうゆうものかと驚いた。
自然と親子を目で追う自分に気が付き動揺したが,同時にその子のことが知りたいという欲求に駆られた。
それは時々,私の中で素晴らしい素材に出逢ったときに起こる衝動であった。
この出逢いを感じたときほど幸せを感じることはなかったが,この少年の美しさはまさにどこをとっても最高で,これ以上の美しさはないのではないかと思えるほど完璧なものだった。
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