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最初の時間
今日から新しい先生が来ると、クラスのLINEで知った。
「どんな先生が来るのだろう」とか、「来ても直ぐに辞めるだろう」とか、そんな事を思いながら校舎への道へと向かっていた。
本校舎とは違い、森の中に有るE組。
一週間も過ぎた頃には、体も少し山道に慣れていた。
そんな時、左右の分かれ道の前で立ち尽くす緑色のツインテールをした女の子が悩んでいた。
制服はうちのであり、恐らく天中学の転入生だろう、と確信した。
規則上、『男は天中学に声を掛けてはいけない』。
だからなるべく声を掛けずに校舎に向かおうとするのだけど・・・
「ねぇ」
その女子は僕に気が付いて声を掛けて来た。
振り向いて返事をすると、彼女は笑みを浮かべて話してきた。
「君もE組?」
「うん、そうだよ」
「『天中学』って、どっちかな?」
やはり転校生だった。
僕は少女に校舎を教えると、彼女は感謝をしてきた。
そして名前を訊かれた。
戸惑っていると、少女は「あ、そっか」と呟いて手を出してきた。
「私、茅野カエデ! 貴方は?」
「・・・し、潮田渚・・・」
茅野「じゃあ、潮田君だね♪
場所教えてくれて有り難う!」
渚「あ、いえ・・・」
慌てながらも僕は彼女と何故か握手をした。
速く彼女から離れなきゃ、と思い、手が放れた時、先へ進もうとする。
でも、彼女は僕をじっと見つめていた。
渚「えっと・・・何?」
茅野「髪・・・長いね」
渚「あ、あ~、短くしたいけど理由が合って切れなくて・・・」
茅野さんは「ふ~ん」と言うと、僕の背中に立った。
そして首筋に風が当たると共に、頭に違和感を感じた。
一瞬の事だった、一体何をしたのだろうか、と・・・
茅野「はい、私と一緒!
気軽に「茅野」って呼んで!」
渚「え、あ、じゃあ僕も気軽に下の名前で・・・」
茅野「うん、分かった。
本当に有り難うね、渚」
笑いながら彼女は右の道へと足を運ばせた。
見送る僕だったけど、その場で崩れ落ちた。
『天中学の女子と会話+握手』をした事で、確実に規則破りをしたから。
バレていなければ、罰則は無いのだけど・・・
だ、誰も見ていませんように・・・
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