一話:「少女はコンビニへと旅立つ」

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 まあでも、この環境はワタシのスニーキング技能も順当にアップしてくれたので、今では塀の影で穏形をすればモヒカンはおろか視回りの警官すらもスルーな感じで回避可能。仮にこの状況で護身用のベアリング鋼弾装填のスリングショットで奇襲狙撃でもしようもんなら、クリティカルな一撃死を与えるボーナスダメージ判定発生確実である。  ……まあ、しないけど。  この武器はあくまで護身用。ホントは即死攻撃なんかできないし実際に攻撃しようもんなら警官がワラワラとリンクしてきてワタシが捕まる。  せいぜいが、ある特定の条件、『独特の特徴をもつ外道』を発見とか遭遇した時に振るうだけの護身投(ごしんとう)(笑)。そしてワタシの封印された暗黒面が解放されない限り安全装置が外れることもないのだから大丈夫。世間に迷惑はかけませんとも、たぶん、めいびー。  ……人の居ない静寂と暗い風景は安堵と同時に過去の恐怖も漂わせる。  特に今日はそれが強い?  ああ、なんか街灯の灯りが少ないせいかも。この辺り、古い家の多い住宅街だから道を照らす灯りが多いと逆に苦情が出るとか聞いた記憶が……、  あれ?  なんか、街並み変わってなくない?  この附近は戦中の被害もなく戦後の開拓騒ぎの流れからも外れ、戦前の古い住宅が多く残っている。でもその古さは木造住宅を基本とするもの。今の街並みのような、洒落たレンガ積み風の外壁な住宅の出す古さとは少し印象が違う。     
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