一話:「少女はコンビニへと旅立つ」

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 道が暗く感じたのはそもそも街灯も変化しているせいだった。電柱に括りつけたようなチャチいものではなく、むしろもっとデザインは古く大正時代のガス灯を連想させる感じの鋳鉄の街路灯。  ……というか、そういえば電柱が無い。  前後の道を、周囲を見回す。一本も……ない。  なんというか、初めて感じる凄い違和感。  あ……、 もしかして、とうとうこの地域にも大規模なインフラ改装の波が来た?  数年前にオリンピックもあったせいで、直接には関係無い各地に無意味に思える宅地開発の騒ぎがあった。この地域は当然のように除外されていたけど、建築バブルの何番煎じかを諦めきれない業者がここらに目をつけたのかもしれない。  まあ、古民家通り越して自然倒壊しそうな家なんかもあったから、そんな機会は逆に助かる人も多そうで良い事なのかもしないなあ。  確か地震で電柱が倒れ道を塞ぐのが危険とかで、インフラの地下化を進めてたのは知っている。壁がレンガ系で統一されたこの附近は大丈夫そうだけど、まだ木造の家の残ってるあたりなら電柱無くして漏電火事が減るのはいい事なんだと納得しよう。  なんとなく家のサイズがネット経由で知る『つんばいふぉー』とか『脊椎はうす』な雰囲気とは微妙に違う気もするが、そこはワタシ的にはどうでも良い事。流そう。  兎にも角にも、ワタシの最優先する目標はポテチである。     
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