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「ふぃー、何とかギリギリだったか…まったくお前は自分の力のコントロールもろくに出来ないのにこーんな山に単独で来るとは…ほんっとにバカなのか?」
そう毒を吐いた影は、か細くそれでいて逞しい思考を持つ少女で、闇の住人を遠慮なく罵った。
「ミルか…俺はまたこんな、こんな…」
闇の住人は自分の背中に寄り添っている存在を認めると自らとった愚行に後悔し顔を伏せる。
その感情を察した少女は闇の住人の後頭部を軽くこずいた。
ガッ 「いってっ…何すんだよミル!」闇の住人は貰ったチョップに唖然しつつ少女に振り向いたが瞳孔に少しだけ光が灯ったように見えた。
「ふん、お前がだらしないからお仕置きしたまでだ、文句あるのか?」
赤みかかった髪を揺らし朱色の大きな瞳で睨み付けると闇の住人だった青年は申し訳なさそうに苦笑いを見せる。
そして、光の住人となった青年は散々な物言いを放った少女の手を躊躇いなく握ると澄みきった空を見上げ呟いた。
「ありがとうな、ミル」
少女は自分でも驚いた事に繋がれた手の温もりは思いの他不快ではなかったが、相変わらず面倒な対応をさせられた事に眉をしかめ悪態をついた。
「ふん、いつもの事だ、いちいち気にするなバカめ!」
荒ぶる闇の住人は一人の少女によって光の住人と姿を変えた。
ーが、闇は完全に消えた訳ではない。
あの日起きた悲劇を無きものにするまでは…
「さて、これからちょっと世界を救いに行ってきますか!」
「ふん、お前には10年はやいわ・・・」
これは人類の生き残りをかけた青年達の戦いの途中の物語である。
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