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ふたりの想い
「私、天宮 アンリよろしくね!」
クラスに女子転校生がやってくると大体の男子はまず恋愛対象になるかどうか素早く吟味し、情報をいち早く得ようと前のめりになるのものだ。
今回この転校生というのがまた絵にかいたような萌え少女キャラであった為、たちまち男子生徒はみな本気モードで歓喜し、その後醜いアピール合戦を繰り広げるのだ。
アホ丸出しな男子達は自分の隣に女子がいるにもかかわらず、「先生、この席空いてます!」
などと平気で口走る奴も少なくない。
その言動を放った奴は女子特有の見えないチェックリストに記され、後に女子全てから迫害されるのだ。
そんな事を知るよしもないアホな男子達は人参を目の前にぶら下げられたかの様に、ただただ鼻の下を伸ばし続けるのだった。
俺はそんな男子達の愚行を達観し、温かい目で見守っていたのだが、思いもよらない結末に暫し思考を停止させることになる。
「ねぇ、よろしくね!っていってるのに、聞こえてないのかなー?」
数学を受け持つ担任の新塚先生は天宮アンリの席を指定したが、その席はなんと俺の隣の席だったたのだ。
ラブコメならここで徐々に仲良くなって恋愛に発展するといったベタな設定になるのだろうが、コミショな俺にとってはモテそうな女子と話すのも勘弁といった話であった。
新任したばかりで今もあたふたしながらキョロキョロ周りを窺っている新塚先生を一瞬本気で恨む。
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