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3. 失敗
僕と仲間たちがもう少し大きくなったある日、僕たちの生活に大きな変化が起こった。
例のあの「先」の世界に、たくさんの――本当にたくさんの――小さな生き物たちが訪れ始めたんだ。
大人に聞いたり、仲間とコソコソ相談した内容をまとめると、結論はこんな風になった。
・あれは「人間」がたくさんいるだけで、悪いものじゃない
・噛まれたり、傷つけられたりしない
・噛んだり、傷つけたりしたら駄目
・「ショー」つまり、僕たちがどんなに偉いかを見に来てる
だからいつも「パチパチ」が飛んでくる
・理由は良くわからないけれど、人は水をかぶるのが大好き
・透明でぶつかると痛いのが「ガラス」、僕らの家は「プール」「ステージ」だって
正直小さな生き物たちの事はよく知っているし、人間は仲間だって思ってる。いつも僕たちに美味しい餌をくれるし、壁の掃除だってしてくれる。たまに僕たちの遊びにも付き合ってくれたりもする。
大人たちですら、小さな人間たちとうまくやっている。だって大人が開いた口に人間が入っても、食べたりしないんだもの。
それから僕は、人間たちを観察するのが日課になった。
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