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プールの前にあるたくさんの段々(階段というらしい)には、ママやパパ(あんなに小さいのに!)、さらにもっと細かい子どもたちが、砂の粒みたいにギュウギュウに詰められている。
よくあんなに小さいのに、子供を間違えたりしないなって、いつも感心する。どこもかしこも甲高いピーピーの連続音。これは彼らが喋っているらしい。
人間のおチビたちがまた楽しい。僕がわざとガラスの前を通ると、たくさん張り付いている子供たちが、目を光らせてこっちを追いかけてくるんだ。また戻ってきたり、逆さになって泳いだり、その度にピーピーが鳴り止まないから、見ている仲間とお腹を抱えて笑うんだ。悪い仲間は口から水をかけたりしてた! 怖いって泣いている子には、クルクル回って、少しだけ長くいてあげる事もある。
そんな生活だから全然退屈しなかった。相変わらずジャンプは上達しなかったけれどね。
残念だけれど、ショーが始まる時間になると、僕たち子供は追い出されてしまう。そうなると、しばらく狭くて壁だらけのプールで我慢しないといけない。けど次は誰がどんな泳ぎをするか、仲間と相談するのはとっても楽しかった。
「☆△@@ーーー!! □◆△2L☆☆@@!!」
意味は分からなくても、僕たちはその音をきちんと記憶している。ショーの終わりだ。
いつもみたいに、たくさんのパチパチが水の中まで聞こえてきた。
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