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ともかく、だ。部屋の真ん中に置いた空のバケツに釣り糸垂らす行為が釣りと言えるかどうか。そんな事は意外とどうでも良くて、これは決して普通の行いでは無いだろうと主張したいのだ。
「まあ、超の付く凡夫であるお前には、この素晴らしい作業の意味など分かるまいな」
「それなら超凡夫で良いですけどね」
分かりたくも無かった。
「黙れカスが!!」
何で怒鳴られた?
「いいか、説明してやる」
「別にいいです。おもしろ動画でも取って、ネットにアップしますから」
スマートフォンを取り出す俺に向けて部っとい腕を振り回しながら大政先輩は怒鳴り散らした。
「よせ馬鹿。馬鹿アンド馬鹿。」
短いセンテンスによくもまあ馬鹿を詰め込んでくれたものだ。
まあ、実際のところ動画を撮る気もないのでスマートフォンはポケットに戻した。だってほら、この人の姿なんて残したくないし。
「これは極秘の行いに決まっているだろうが。お前だから見せてやってるんだよ。迂闊な事をすれば、お前もブラックメンに消されるぞ」
まあ、こんな頭のおかしい振る舞いは極秘でありたいよなって言うのは分かる。
「いいから黙って聞け、愚か者」
何も言ってないし。
しかも愚かと来た。
ほんと、この人に馬鹿にされると腹が立つ。
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