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待ちきれずにベッドにもぐりこみ、しなやかな体に触れる。ちょっと刺激を与えれば、ほら。
「ろくろー?」
寝ぼけた声が耳に届き、するっと腕が巻き付いてくる。とりける瞳が禄朗を映すと、幸せそうにほころばせた。
「なんかいい夢みた」
「どんな?」
「なんか、禄朗とさ……ふふ、やっぱ秘密」
もぞもぞとおでこをすり寄せて甘えてくる瑞生をしっかりと抱きしめて、小さなキスをたくさん送った。
「教えろよー」
「えーだって、何言ってんだって笑われる」
「教えろって」
こちょこちょとくすぐったら身をよじって降参の合図を送ってきた。
「笑うなよ」
「笑わないから」
「えー。禄朗とぼくがじいさんになっててさ。二人で温泉に旅行してんの。で、お茶を飲みながら、これからも一緒にいよって話してる夢!」
「……」
照れるように笑う瑞生をぎゅっと抱きしめた。
絶対正夢にする、と決めた。よし、決めたからな瑞生。おれも同じこと願っていたから。それは絶対叶えてやる。
「今日っていい夫婦の日なんだって」
「そうなの?」
「うん、だから夫婦ごっこしよっか」
「ん?……って、ちょっと、禄朗……どこ触って!」
いつか夫婦になれる時まで、がんばるから、だからずっとこうしていよう。
禄朗は誓うように唇を落とした。
fin
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