惨劇・ワンウッド傭兵隊編・陥穽

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マスタールーム ダンジョンの奥へと進撃を続けるワンウッド傭兵隊の映像はマスタールームにいるアイリス達の前に映し出されており、アイリスは進撃する彼等を冷めた目で見詰めながら呟きをもらす。 「そろそろ最初の宝箱に到着するわね」 「確か最初の宝箱はミミックが擬態していた筈だったな、まあ、このダンジョンの宝箱は粗方ミミックが擬態しているんだがな」 「……確か、17個ある宝箱の内16個がミミックで残る1個が麻痺の呪いとモンスター集めの呪いの効果が付与された普通の槍、でしたよね」 アイリスの呟きを耳にしたミリアリアが問いかけていると、以前聞かされたダンジョンの概要のエグさを思い起こしたリーナがそのエグさに若干顔をひきつらせながら続き、2人の問いかけを受けたアイリスは冷たい笑みを浮かべて進撃を続けるワンウッド傭兵隊を見ながら口を開いた。 「何時も同じ配置や順番だと飽きるでしょ?だから1度入る度に宝箱の配置順番や選択ルートの正解が変更される機能を追加したの、今の所この機能が適用されるのは第1階層だけだけど後々この機能に対応した階層を増やして行く予定よ」 「……構造変更機能って確か25階層以上ある高難度ダンジョンにしか無かった筈だよな」 アイリスの答えを聞いたライナは新たに加えられた機能のエグさに顔をひきつらせかけながら傍らのアリーシャに小声で話しかけ、ミリアリアとリーナも顔をひきつらせながら乾いた笑みを浮かべるしか無かった。 第1階層 ダンジョンを進撃する下級幕僚とワンウッド傭兵隊、進撃を続けていた彼等の前に無造作に置かれた宝箱が姿を現し、それを目にした隊長は一度全員を停止させた後に手近な所にいた2人の傭兵に声をかける。 「おい、お前達が開けて来い、出来たばかりのダンジョンだから大した物は入ってねえだろうが中身はくれてやる」 隊長の言葉を受けた2人の傭兵は頷きながら気易い足取りで宝箱へと向かい、隊長はその背中を見ながら傍らの下級幕僚に声をかける。 「あの宝箱を無視して前進したとなると奥に高位エルフがいるかも知れないと言う話に信憑性が出てきたな」 「ああ、もう既に逃走してしまったかも知れんが痕跡くらいなら見付けられるかもしれんな」
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