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「あの槍だ、あの槍、恐らく麻痺の呪いだけじゃなくモンスター寄せの呪いまで仕込まれてるっ!!」
「……クソがあぁっ!!お前はあの槍をさっさとぶち壊せっ、貴様等、隊列を組み直せ相手はたかだかスケルトンだ、これ以上醜態見せんじゃねえぞっ!!」
魔導士の言葉を受けた隊長は顔面を怒りで赤黒くさせながら怒号を迸らせ、その怒号を受けた魔導士が床に転がる槍に火球を放ち灰にさせると同時に態勢を立て直してた生き残りの傭兵達が素早く隊列を調えて接近するスケルトンの迎撃を開始した。
態勢を立て直した傭兵達にとってスケルトンは然程の難敵では無く、それからいくらも経たぬ内にスケルトンの集団は蹴散らされ、戦闘を終えた一同はスケルトンの骨が床に散乱する中安堵の表情を浮かべた。
「クソっこんな出来たてのダンジョンで3人も殺られるとはなっ」
隊長は忌々しげに呟きながら近くに転がる骨を踏み潰し、その様子を目にした下級幕僚が難しい顔付きになりながら声をかけてきた。
「どうする?かなりの損害が出た様だが?」
「……心配すんな、さっきはちょいとばかし油断が過ぎた様だがエルフどもを犯すのに現を抜かし過ぎてたこいつ等には良い藥だろう、呪い付の槍には少々驚いたが所詮は出来たばかりのダンジョンだ、俺等にとっては何の問題も無く踏破出来る」
「分かった、ならば進むとしよう」
下級幕僚の問いかけを受けた隊長は胸中に生じている微かな警鐘を捩じ伏せながら殊更に力強い口調で応じ、それを受けた下級幕僚が頷きながら発した言葉に頷いた後に傭兵達に号令を発した。
「よし、行くぞっお前等!!緩んだ箍をしっかりと締め直してこんなダンジョンさっさと踏破しちまうぞっ!!お澄まし顔のエルフどもをヒイヒイ言わせるのはこのダンジョンを踏破した後だっ、気合い入れ直して行けっ!!」
隊長の怒号を受けた傭兵達は胸中に生じていた漠然とした警鐘や不安を捩じ伏せると雄叫びをあげて隊長の喝に応じ、その雄叫びを耳にした隊長は満足気に頷きながら前進を命じた。
隊長の命令を受けた前進を始めたワンウッド傭兵隊、彼等の命運はその瞬間に決定された。
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