32人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
そして次の日曜の朝11時に、あの日マルちゃんを降ろした同じ場所で待ち合わせして、『野北』の海へ下道を通り車を走らせる。
2時間ちょっとで野北の海に着く。
海沿いの二車線の道路の横にある
駐車場に車をとめた。
車を降りるとちょっとだけ寂しそうに
人がいなくなった浜辺が
僕たちを迎えてくれた。
優香と付き合うきっかけになった
あのキャンプにはマルちゃんもいた。
少し気まずい空気を振り払う。
「下に降りようか?」
「はい」
そう言った彼女の手を引いて
少し急になった坂を駆け足で降りると、
浜辺に置き忘れられたキャンプの跡と思える
少し大きな枯れかかった木に彼女が躓いた。
その勢いのまま僕に寄りかかると
また僕の心は小さく声をあげた。
「大丈夫?ごめん走ったから」
「だいじょうぶ!」
笑いながらピースする。
最初のコメントを投稿しよう!