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「じゃ先輩私と付き合う?」
と僕を見ずに砂に何か字を書きながら聞いてきた。
僕の心臓は飛び出る寸前だった。
「優香と付き合いよる時から好きやったっちゃんね。先輩のこと」
その言葉が清楚で真面目で
誰にでも優しいお姉さん的存在の
マルちゃんから出たことに
戸惑いを隠せない僕はーー
たぶん彼女の手をきつく握りしめていたのだろう。
「だめ?」
「いや…ダメな訳なかやん。マルちゃんは俺でいいと?」
「ダメならそんなこと自分から言いませんって。先輩、女の子のことわかってそうで案外わかってないの?」
と言いながら手を放し、反対側に回って別の手で繋ぎ変えた。
「それにその『マルちゃん』ってやめません?」
その日家の近くで彼女を降ろすとき、
ドアを開けようとする彼女を引き寄せキスした。
それが彼女の問いへの僕の返事だった。その日から僕たちの交際は始まった。
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