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9月の曇った浜辺は少し肌寒く、
着ていたカーキ色に近い黄色のジャケットを
彼女の肩にかける。
にあっ」
と小さく言うが
それ以上は何も言わずに僕の顔を見上げる彼女。
誰もいない二人だけの浜辺を
手を繋いだまま散歩した。
「ツキ先輩?」
「ん?」
「優香と別れたと?」
と歩きながら砂を蹴飛ばしていた彼女が
いきなりど真ん中から
核心に迫ってきたことに
一瞬固まったが「1年半前?」と
冷静を装い短く答えた。
それからしばらく沈黙が続く。
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