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   と、朦朧とするうちに、カーブミラーが反対側の道端からこっちを向いているのに気づく。何かがこめかみに忠告する。  “お前は、抱いてはいけない想いを抱き……” 「ううッ」  頭をかかえ、幽霊なのに一体どうしてなのですか、と、夏目はそのひとに胸の中で訊いた。  そして指先にかんじる感触どおり、まるで均整の取れた摩訶不思議な雰囲気の、その小柄な体を見おろした。 「……」 「……」  見つめあう。  が、 「ゴホッ……」  あちらで咳払いが聞こえた。
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