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──静かに呟く。
「あたしはね、生きているから」
幽霊女の頭頂から爪先までをしみじみ眺め、
「あなたとは違うの。川堂さんを、この柔らかい体であたためることができるから」
と言った。
すると幽霊女は、黙って絞められた痕のついた喉に触れた。その首輪の、青黒い窪みの所で指をそよがせる。
そして何も言わず、後ろを向いてまた歩き出した。
夏目は哀しさを覚え、アカネに告げた──
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