37/193

53人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
   ──静かに呟く。 「あたしはね、生きているから」  幽霊女の頭頂から爪先までをしみじみ眺め、 「あなたとは違うの。川堂さんを、この柔らかい体であたためることができるから」  と言った。  すると幽霊女は、黙って絞められた痕のついた喉に触れた。その首輪の、青黒い窪みの所で指をそよがせる。  そして何も言わず、後ろを向いてまた歩き出した。  夏目は哀しさを覚え、アカネに告げた──  
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加