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夏目は頭を撃ち抜かれたように感じた。ハンドルを握る五本の指先が冷たくなっていた。
彼女は幽霊だとすっかりわかっていたが、遮蔽物を透過してゆくさまをまのあたりにすると、やはり愕かずには居られないのだった。
恐怖を感じ、どうじに、奇妙なものも感じた。
透きとおった寂しさだった。
彼女があんな屋敷に帰ってしまったことが、ただただ苦しいのだ。
深入りしてゆくことが止められない。自分は一体どうなってしまうのか。
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