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   着替えたのだろう。以前に外から覗いた時のように、あの青のホットパンツ姿で柔らかい足を剥きだしにしている。膝を曲げて、チカチカと小さく賑わう画面を黙って観ている。  夏目は肋骨を引き攣(つ)らせながら呼んだ。 「よ、──よう香さん」  だが相手はこちらを向かない。 「よう香さん?」  まだ向かない。  夏目は暫く困惑し、汗だくになり、思案のあと言った。 「あのう……、黙って侵入してしまって、すみません。……僕はなんだか喉が渇いてしまって。──何か、飲み物を頂けないでしょうか」
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